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絵文字の歴史:日本発の世界標準

携帯電話の絵文字からUnicode標準化まで、日本が生み出した絵文字の歴史をたどります。

歴史 Unicode 日本文化

絵文字の誕生:1999年

絵文字の歴史は、1999年に日本のNTTドコモのエンジニア、栗田穣崇(くりた しげたか)氏が12×12ピクセルの176個の絵文字セットを作成したことに始まります。

当時の携帯電話(i-mode)では、テキストメッセージが主な通信手段でした。しかし、テキストだけでは感情やニュアンスが伝わりにくいという課題がありました。


日本の携帯キャリアによる独自進化

NTTドコモ(1999年〜)

最初の176個の絵文字セットを開発。天気、食べ物、感情、交通機関などの基本的なアイコンを含んでいました。

au/KDDI(2003年〜)

ドコモに対抗して独自の絵文字セットを開発。より精緻なデザインが特徴でした。

SoftBank(旧J-Phone/Vodafone)

独自のデザインの絵文字を提供。Appleが後にiPhoneに絵文字を搭載する際、SoftBankの絵文字デザインを参考にしました。

キャリア間の互換性問題

各キャリアの絵文字は互換性がなく、異なるキャリアのユーザー間では絵文字が正しく表示されないという深刻な問題がありました。


Unicodeへの標準化(2010年)

Googleの貢献

2007年、GoogleのエンジニアであるMark DavisとMarkus Schererらが、絵文字のUnicode標準化を提案しました。Gmailでの日本語メール対応がきっかけでした。

Unicode 6.0(2010年10月)

722個の絵文字がUnicode標準に正式に採用されました。これにより、異なるプラットフォーム間で絵文字を共有できるようになりました。


iPhoneと世界への普及

2008年: iPhone日本上陸

AppleはiPhone 2.2で日本向けに絵文字キーボードを搭載。当初は日本のSoftBankユーザーのみが利用可能でした。

2011年: iOS 5で世界展開

Appleが全世界のiOSデバイスで絵文字キーボードを標準搭載。これが絵文字の世界的な爆発的普及のきっかけとなりました。

2013年: Androidも追随

Android 4.4(KitKat)でカラー絵文字をネイティブサポート。


絵文字の進化年表

年 出来事 絵文字数
1999 NTTドコモが絵文字を発明 176
2010 Unicode 6.0 に採用 722
2014 Unicode 7.0(多様性の始まり) 約250追加
2015 肌色バリエーション導入 5色対応
2016 職業の男女平等(Unicode 9.0) 大幅追加
2017 幻想的キャラクター追加(Unicode 10.0) 妖精、吸血鬼等
2019 障がい者を表す絵文字(Unicode 12.0) 車椅子、義足等
2020 トランスジェンダーフラグ(Unicode 13.0) 多様性拡大
2022 握手の肌色バリエーション(Unicode 15.0) 異なる肌色の組合せ
2024 Unicode 16.0 3,800以上

文化的インパクト

「emoji」は世界共通語

日本語の「絵文字」(e = 絵、moji = 文字)がそのまま英語に取り入れられ、オックスフォード英語辞典にも収録されています。

MoMAの永久コレクション

栗田穣崇氏のオリジナル176絵文字セットは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久コレクションに加えられました。

「😂」が2015年のWord of the Year

オックスフォード辞典が2015年の「Word of the Year」に絵文字「😂(嬉し泣き)」を選出。テキスト以外が選ばれたのは史上初でした。


これからの絵文字

Unicode Consortiumは毎年新しい絵文字の提案を受け付けています。誰でも新しい絵文字を提案でき、採用されれば世界中のデバイスで使用可能になります。

日本発の小さなアイコンが、今や全世界のコミュニケーションに不可欠な存在となりました。